登録までの歩み - bird

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登録までの歩み

第二回。
今回は前回の「世界遺産って?」という内容を踏まえ、富士山が世界遺産に登録されるまでの歩みについて書いていこうと思います。前回の記事はコチラ。


さて「富士山を世界遺産へ」という動きは、日本が世界遺産条約の締約国となった1992年から始まっていました。静岡・山梨の自然保護団体等が集まり、署名運動が始まります。この署名は230万人以上の署名が集まったそうです。
この頃は「自然遺産」への登録に向けて動いていました。

地元団体から県へ、県から国へと動きが伝わっていきますが、もちろん富士山だけでなく、日本国内の他の場所も推薦されていました。そんな中、富士山に関しては「自然遺産だけでなく、文化遺産としての登録を目指し調査をし直して見てはどうか」という意見を国から出されていました。

文化遺産としての検討。
2000年に、世界遺産暫定リスト追加物件の調査審議が行われます。このとき、「平泉の文化遺産」「石見銀山遺跡」「紀伊山地の霊場と参詣道」が暫定リストに記載されます。富士山はというと、「できるだけ早期に推薦できるように強く要望する」というカタチで、とりあえず保留されました。この審議結果を出した委員会の報告内容は、今後は多角的・総合的な調査研究を深化したほうがいいよ。というものでした。やはり富士山は自然ですから、自然遺産登録への動きが強かったため、関連する文化的な価値はまだまだ調査が甘く、関心も薄かったんではないかと思います。

自然遺産としての検討。
一方、環境省と林野庁が共同で、自然遺産登録に向けても検討をしていました。2003年に開かれた候補地に関する検討会では、「知床」「小笠原諸島」「トカラ・奄美・琉球列島」が選定されます。しかし富士山はこれまた見送られます。その理由として説明があったのが、

・利用されすぎていることにより、改変が進んでいる。
・3000mを超える単独の成層火山ではあるが、火山地形としての多様な火山タイプ(特徴)を含んでいない。
・ゴミ、し尿処理対策など保全管理体制の確立が必要である。
・既に世界遺産に登録されているキリマンジャロ、ハワイ火山と比較すると見劣りする。


というものでした。
そう、これがまさに「自然遺産」にならなかった理由なんですね。

上記の中で、ゴミやトイレの問題がよく取り上げられますが、イロイロと整備され最近はキレイですよ。5合目より下に関してはまだゴミが多い林道等もありますが、これらは今後さらにクリーンしていく動きを作っていく事は可能です。実際に運動も沢山行われていて、一時に比べると急速にキレイになったなと実感しています。そう言う意味ではクリアしていく可能性があります。でもソレ以外の部分を変えていくのって難しいですよね。自然遺産とするには前回の記事で書いた、条件を満たせないってことだったんです。真実性・完全性それからOUV。

前回も載せた写真ですが、OUVを証明する為の基準がありましたね。
IMG_5294.jpg

この評価基準の中で、7〜10の項目が自然遺産登録の際に証明が必要となる基準です。

世界の他の自然遺産と比べて見てみると分かりやすいかもしれませんが、富士山や周辺は長いの歴史の中で人間によって手が加えられた部分がかなり多くあります。完全に手つかずの大自然とは言いがたい状況です。5合目まで道路が整備され、登山ルートも確立され、ブルドーザーが走る、沢山ある山小屋では商売がされている。個人的には特に吉田口5合目の雰囲気は異様にも感じます。これに加え、火山タイプとしてのオリジナリティがないことや、世界に既に似たような山が存在する事を考えると、OUV、まさに顕著な普遍的な価値は「自然」という側面からは評価できないということなんですね。

では、世界的に見れば自然としてのオリジナリティが少ない富士山がここまで発展して来たのか。それはそこに文化的な価値があるからですね。自然遺産として世界が認めるには少々ものたりなかったものの、富士山を取り巻く文化や、富士山に関連して育ってきた伝統や芸術は、日本ならではのものじゃないか。ってことなんです。そんな部分を掘り下げて調査するとイロイロなことがわかってきました。

今回、富士山が世界文化遺産に登録された時のキーワードとして「信仰の対象と芸術の源泉」というものがあります。富士山の自然環境より、富士山と共に存在している信仰や、古来から芸術の対象とされてきたことが明確化され、富士山はまさにこの部分に顕著な普遍的価値があると認められたわけです。

さて、この「信仰の対象と芸術の源泉」について次回以降で詳しく書きたいと思っていますがが、少しだけフライング情報を書いておきましょう。

登山シーズンに富士山を訪れる方や、初めて富士山に来る方、いつかは登りたいと言う方のほとんどが口にする「ご来光が見たい」というフレーズ。富士山からの日の出は確かに凄い景色ですよ〜。一度は見た方がいいです。僕が初めてご来光を見たのは、高校三年生。丁度この時はペースを見出して軽い高山病になったため、八合目で断念した時でした。でも八合目からでもご来光はバッチリ見えます。あの時、太陽が見え始めた瞬間の周りから聞こえる「お〜〜」という歓声は今でも覚えてます。

それはいいとして、この「ご来光」じつは「ご来迎(ゴライゴウ)」が語源だとされていて、ご来迎と書かれているものもあります。このご来迎なんですが、高山の頂上で太陽を背にしたとき、前面の霧に自分の影が大きく映り、その周りに光環が見られる現象。のことを言うんです。山に行く人はブロッケン現象という言葉でよく知っていると思います。

で、この現象。光の輪を背負った仏の像に見えたという事から名付けられました。
本来は太陽を背にする状況なのに、今では山頂からの日の出を見る事だと思われてるのは不思議です。でも、「ご来光を見たい」というフレーズで考えると、仏を見たい。とか仏に近づきたい。って思えてきませんか?富士山でのご来迎を誰が初めて見たのかは分かりませんが、まさに富士山が信仰の対象となる一つのキッカケともとれます。

仏を見たい!というわけではないとしても、僕らは今でも「ご来光が見たい」と富士山に登る。なんだか知らないうちに富士山を信仰の対象として捉えているのかもしれません。文化として根付いちゃってるんです。そうそう、こういうことこそ日本独自の顕著な普遍的価値だと感じませんか。

そんなわけで「ご来光=ご来迎」の話は、このような文化の一端にすぎません。まだまだ富士山の周りには日本人が古くから守って来た不思議な魅力や文化が沢山あるんです!では次回に!!

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Profile

Ippei Tamura

Share your HEART and PIZZA. 一枚のピザをみんなで囲んで食べる姿って楽しいよね。そんな気持ちで、ちょっぴりJUNKなピザ屋をやってます。自由なスタイルで富士山周辺を飛び回るイベント企画屋としても活動中。職業欄に何て書くのか悩み続けて10年以上。なんでもやっちゃうライフスタイルを提唱中。

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